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「the bar nano.」(北海道・札幌)富田健一さんのインタビュー
調理師専門学校を卒業後、札幌の名店「BARやまざき」「BAR PROOF」などで研鑽を積み、2007年に独立して「the bar nano.」をオープン。スタンダードカクテルにしっかり向き合いながら、フルーツや野菜を使った新しいカクテルを創作している。(※写真は富田さん提供)

つくる楽しさも届ける「カクテルキット」

北海道・札幌で「the bar nano.」「the bar nano gould.」を営む富田健一(とみた けんいち)さんが、自宅で作れるカクテルキットをテイクアウトと発送でいち早く始めた。人気を博したカクテルキットは第5弾まで続き、他店とのコラボやペアリングも提供。パッケージや価格設定、メニューはどのようにして決めたのか。今後の動きも含めて、お話を伺った。(取材・文 いしかわあさこ)

製造業の免許を取るか、委託するか


―カクテルキットの販売を始めるにあたって、何から取り掛かりましたか?
まず、どういうレシピならお客さまが喜んで購入してくださるかを検討しました。店で人気のあるメニュー、例えばベーシックなカクテルでジントニックやモスコーミュール、北海道のハスカップを使ったカクテルをご自宅で簡単に作れるように素材、工程をアレンジしてみようと。店でお出ししているジントニックは、ジンにジュニパーベリーを浸け込んだり、ブレンドしたジンをベースにしているので、ご自宅でも同じようにできないかを考えました。容器に干し椎茸やホタテを入れて作る出汁醤油キットや、唐辛子やハーブをオリーブオイルに浸け込むセットが販売されていますよね? あれを見て、家で作る楽しみもあるのではないかと思って。とはいえ、複雑になり過ぎず、なるべくシンプルで誰もがわかりやすいものにしました。材料が多いとアレルギーの心配もありますし、複雑なレシピは店に来て頂いたときにご提供しようと。お寿司屋さんに寿司折があるように、バーでもお酒を持ち帰ることができたらと、以前からぼんやり考えていたことが今回のコロナ禍で具現化しました。

―小瓶と真空パックのセットで販売されていましたよね。それぞれどのようにパッケージしたのでしょうか。
ご来店したお客さまが持参した容器にその場で移し替える「量り売り」ではなく、小瓶に移し替える「詰め替え」は届け出が必要です。そこで、発送のために期限付酒類小売業免許のほかに詰替えの届け出をしました。小瓶は札幌市内にある資材屋さんで購入していましたが、早い段階で売り切れてしまって医薬品関係から仕入れたこともあります。ネットも何回か利用しました。ただ、小瓶を1杯のカクテルに1~2つ使うとなると、なるべく安く仕入れなければなりません。例えば1杯900円×5杯、4,500円のセットで販売するのに小瓶ひとつで100円かかるとそれだけで原価率がかなり高くなってしまいます。でも、お客さまがテイクアウト用の小瓶を持ち込んでくださったり、梱包の箱は要らないからと紙袋に入れて持ち帰ったりと、だいぶ助けられましたね。お酒以外の副材料は、保健所からの指導で製造業の免許を持っている会社に委託することになりました。以前から取引のあった円山西町のシャルキュトリー店「Charcuterie Terre(シャルキュトリー テール)」に、こちらから必要な材料とレシピを送って真空パックにして頂いて。製造業の免許を取るか、どこかに委託するかを考えたときに、製造業の免許を持つ信頼できる友人がいたおかげでスムーズに決めることができました。普段お付き合いがないと、交渉するのは価格の面などでも少しハードルが高いのではないでしょうか。

カクテルキットを注文すると、この箱が届く。代金引換のチルドゆうパックだ。

箱を開けると、準備するものやカクテルの作り方が印刷された紙、コースターが材料と共に入っている。

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