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新型コロナウイルス対策で利用したい支援制度(後編)

〈税理士インタビュー〉―税制・融資―

全国で新型コロナウイルスの感染者数が激増している昨今。国や地方自治体の経済対策も、さらなる拡充や延長が検討されている。前編に引き続き、税理士法人スマートシンクの菊地則夫氏に、飲食業経営に関連のある支援制度〈税制・融資〉について聞いた。
監修:税理士法人スマートシンク 代表税理士 菊地則夫
取材・文 :門賀美央子   イラスト:千野エー

納税関連の特例

納税や国民年金保険、国民健康保険など、納付が発生する諸制度にも特例が設けられています。


国税・地方税の納付猶予
法人税、消費税、所得税、地方税(住民税、固定資産税、都市計画税等)など、ほぼすべての税目が、申請すれば、原則1年間、納税が猶予されます。通常、納税は遅滞すると「延滞税」がかかりますが、この特例を受けた場合は延滞税が免除されます。また、担保の提供も不要です。

条件 令和2年2月以降の任意の期間(1カ月以上)での収入が前年同月比概ね20%以上減少し、半年間の事業資金を考慮したときに納税が困難と認められる場合

対象期間 令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納付期限が到来する国税・地方税

納税が困難である場合は必ず税務署に相談してください。申告しないと単なる滞納とみなされ、延滞税が発生し、最悪の場合差し押さえなどが発生するので、注意が必要です。

新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm


固定資産税・都市計画税を軽減
中小企業者・小規模事業者が対象。売上減少幅に応じて、償却資産と事業用家屋の固定資産税、都市計画税(令和3年度課税分)の軽減(ゼロまたは1/2に)する措置です。

条件 令和2年2月~10月までの任意の連続する3カ月間の売上が対前年同期比で、30%以上減少している

措置内容 売上高の減少率が30%から50%未満の場合 減免割合 2分の1
売上高の減少率が50%以上の場合 減免割合 全額

新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者の固定資産税・都市計画税の減免について
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html


欠損金の繰戻し還付制度
欠損金の繰戻し還付については、資本金1億円以下の中小企業者には従来から認められています。この制度を利用すれは、欠損金(事業年度の所得金額において、損金の額が益金の額を超える場合の、その差し引き金額)が発生した場合、その欠損金を還付所得事業年度に繰り戻し、納付済みの法人税や地方法人税から還付を受けることができます。

欠損金の繰戻しによる還付
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5763.htm


課税期間開始後でも、消費税課税事業者への選択変更が可能に
通常、消費税課税事業者の選択は、課税期間開始後は変更できないのですが、令和2年度は特例として変更できることになりました。条件に該当し、税務署の承認が下りれば、今からでも選択する/選択しないを変更することができます。設備投資や仕入れなどで支払った消費税額が、販売・売上によって入ってきた消費税額を上回る場合、この制度を使えば支払った消費税の還付を受けることが可能になります。今年、内装工事などで多額の消費税を支払ったのに、売上減で受け取った消費税が極端に少なかったようなケースは、この特例の利用を検討する価値はあるでしょう。通常、課税事業者を選択すると、2年間は継続して選択する義務があるのですが、この特例を利用した場合には翌年に選択をやめることもできます。

条件 令和2年2月1日から令和3年1月31日までの任意の期間(1カ月以上)での収入が前年同月比概ね50%以上減少したこと。当該納税期間の申告期限までに申請書を提出し、税務署長の承認を得ることが必要になる。

対象期間 令和2年4月30日以後に申告期限が到来し、上記の収入が減少した期間が存在する課税期間

消費税の課税選択の変更に係る特例について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/keizaitaisaku/shohi/index.htm

◎納税に関して不安があれば、まずは税務署に相談してみよう

特別融資・緊急融資

今後も事業を継続する明確な意志があり、かつ業績回復の自信もあるのに、手元に必要な運転資金がない。そういう方は、ぜひ各金融期間が始めた特別融資を利用してください。現在、経済産業省では資金繰り支援の施策を多く出しています。

経済産業省ホームページ 特別融資
https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html#01

このうち、利用しやすいのは日本政策金融公庫と商工中金の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」です。

日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/

商工中金
https://www.shokochukin.co.jp/

特に日本政策金融公庫は、経済情勢が悪い時に国が助成をすることを目的とする金融機関なので、融資のメニューが充実しています。
令和2年7月現在、これらの金融機関は、かなり融資が受けやすい状況になっています。もちろん審査はありますが、その審査もかなり簡略化されています。マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)も同様です。

また、一般の銀行でも、コロナ関連の特別融資が始まっています。長年取引してきた銀行があれば、そこに相談するのもよいでしょう。また、銀行から融資を受ける際に利用する信用保証協会の手続きも、かなりスピーディーかつ簡単になっています。

どれを選択しても、早ければ1カ月、遅くても2カ月ぐらいでの融資を受けられるようです。今をしのぐ資金さえあれば、今後業績が回復し、返済できる見通しが立つ方については、ぜひ使っていただきたい特例です。

当初は公庫でも門前払いのような状態が続いていましたが、世論が高まりを受けた政府が指示した結果、状況は大きく変わりました。窓口ではかなり渋い対応を受けたが、蓋を開けてみると希望通りの融資を受けられたという話も聞きます。ですから、早い時期に相談して断られた方も、もう一度申し込んでみてください。違う結果になるかもしれません。

◎特別融資の開始時期より、今のほうが審査に通りやすい

従来、小規模な飲食店は比較的融資を受けづらい状況にありました。しかし、今は事情がまったく異なり、これまでは無理だったレベルの金額が下りるケースさえあります。将来を見据え、きちんとした借入金返済計画を立てたうえで融資を受ければ、ピンチをチャンスに変えることができるかもしれません。

まだまだ先の見えない状況が続きますが、どうかあきらめず、制度を上手に利用して経営を安定させ、将来の安心を獲得してください。

税理士法人 スマートシンク
URL:http://smtt.co.jp
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-1-6 12SHINJUKU1004
TEL:03-6300-9501  FAX:03-6300-9502

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