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左から渡邉匠(わたなべたくみ)さん、山本修士(やまもとしゅうじ)さん、金子道人(かねこみちと)さん。

バラエティ豊かなボトルカクテルセットで、まるでリアルなバー体験を

STAY HOMEが推奨されたこの数ヶ月、自宅でも注ぐだけで本格的なカクテルを楽しめるボトルカクテルが注目を浴び、バーテンダーが手がけるプロジェクトがいくつか立ち上がった。
その中でも独自路線をゆくのが、100mlのミニボトルにカクテルを詰め、6種類のセットで展開される関西発のボトルカクテルプロジェクト「C&E」だ。手がけるのは3人のプロフェッショナルたち。ディアジオ社のカクテルコンペティション「World class」で世界一に輝いた、奈良LAMP BARの金子道人さん、同じく奈良のバーテンダーであり、World classで日本一となった経歴を持つTHE SAILING BAR(奈良・桜井市)の渡邉匠さん、そして、国内トップクラスの洋酒の品揃えを誇る大阪市の酒販店・千雅を営む山本修士さんだ。世界的バーテンダーと酒販店のタッグで展開されるプロジェクトについて、どのような手法でカクテルをボトルとして展開するのか聞いてみた。(取材・文 小針真悟)

―6種類のボトルカクテルをセットで展開するそうですが、どのようなカクテルなのでしょうか?
金子:6種類全てがオリジナルのシグネチャーカクテルで、一人2種類ずつ創作しています。
バーでカクテルを飲む時も一種類をひたすら飲むわけではありませんよね?なので味の偏りが出ないようバランスをとりながら別々のカクテルを考案しました。
あくまでコンセプトとしては「C&E」のEのところ、カクテル&エクスペリエンスとかエクストリームといった意味を込めていて、すごいカクテルが家で飲めてバー体験ができるという点を重要視しました。バーのカクテルの型落ち感は絶対に出したくなかったので、ガーニッシュやボトル、パッケージにもこだわっています。

渡邉:家で楽しむなら同じ味のカクテルばかりだと飽きるじゃないですか。酸味が欲しいとか、アルコール度数にしても20度前後のものばかりではなく10数度のカクテルもあった方が良いと思うんです。6種類もあればその日の気分でカクテルを選べますし、見た目や味のバラエティにはこだわりました。

「C&E」のカクテル6種。色や見た目が異なるのはもちろん、それぞれ味の方向性も異なる。ユニークな形のボトルもまた特徴的だ。

―一種ずつボトルの形状も違うのは特徴的ですね。
金子:バーに行った時に何を楽しむか、グラスウェアも楽しみの一つですよね。それなら瓶の形を各種変えようと思い、その形でカクテルの味わいもリンクさせることができるのではと考えました。
それからバーではガーニッシュにも工夫を凝らしています。なので瓶の中にガーニッシュも入れています。

―限りなくバーのスタイルに近づけるということでしょうか?
渡邉:グラスに注ぐだけで、バーテンダーが作る溶けしろがあるカクテルの極地を体験いただけるようにお酒だけのレシピではなく、例えば紅茶やアシッドウォーターなども用いています。だからそれぞれのカクテルに使う素材の量が非常に多いんですよ。コンセプトに沿ってレシピを考案すると、こうした複雑なレシピになるわけです。

100mlのボトルたちは鮮やかなブルーのパッケージに包まれる。持ち運びも想定してパッケージにもこだわったのだという。(デザインを崩さぬよう発送の際はさらに段ボールに梱包される)

―実際に現場ではどのように製造いるのですか?
金子:リキュールの製造免許を持ち、実際に製造・販売を行っている京都の「フルーツリキュールフリークス」さんで製造しています。
規定上、製造所内で全ての工程を行わなければいけないので、京都まで3人で行って、ガーニッシュも含めインフューズを行い、ブレンドして瓶詰め、ラベリングまで全ての工程を自分たちだけで行ってきました。

渡邉:OEM(委託製造)っぽさは出したくなかったんです。バーで味わうカクテルと同じようにレシピの考案から瓶詰めまで全て自分たちの手で行なっています。
クラフト感というか、私たちが作ったものをそのまま飲めるという極地を打ち出したかったんです。

山本:時間でいうと、1種類だけならインフューズしていたものを混ぜて瓶詰めする工程で3時間ぐらいですね。
6種類あるので、1種類作る場合と比較すると約6倍の時間がかかっていることになります。

―そもそもどういった経緯でボトルカクテルのプロジェクトは始まったのですか?
金子:去年ぐらいから頭の中にあったことなのですが、バーテンダーのビジネスってカウンターに立ってフェイスtoフェイスじゃないですか。でもそのビジネスに限界を感じていたんです。一定以上の活躍ができなくなるのではと。ベースを磨くことも素晴らしいですが、アイディアの表現方法が限られてくると感じていました。
私の友人でカフェを経営している方がいて、彼は去年、焙煎の日本チャンピオンになっているのですが、その焙煎などの技術を含め全てシステム化して通販を始めています。それが好調なようでとても大きな売上があるようです。
その話を聞いたとき、バーテンダーにも空間を超えて楽しませる能力があるはずだと思ったんですよ。

―それでコロナを契機に実際に動き始めたのですね?
金子:こういう時こそ新しいことができるんじゃないかと思います。
業界全体が危機的状況に陥る中でも、カクテルを売る方法を考えないといけない、それなら通販だと考えました。
ただ、普通にやると酒類製造免許とその販売免許が必要でかなり大変です。
実現させるにあたって、山本さんなら酒販店ですしバーテンダーにはない繋がりやアイディアを持っているだろうと相談しました。
それから、やはりブレーンはたくさんあったほうが良いと考え、僕のお兄さん的存在でもありパッションのある渡邉さんに連絡して、3人でプロジェクト化させることになりました。

「バーテンダーはクリエイトすることに長けていますが、材料の仕入やコスト面の管理は山本さんが得意な部分で、素晴らしい材料を仕入れてくれています」と金子さんは言う。

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