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スピリッツ&シェアリング株式会社CEOの南雲主于三さんのインタビュー
独創的なカクテルを生み続ける南雲さんは、いま最も注目されるミクソロジスト。全国のバーテンダーを集めたイベントも開催しており、今年1月には「SHOCHU Mix up 2020~みやざき焼酎の未来~」で焼酎カクテルの可能性を広く発信した。著書に『ザ・ミクソロジー カクテル創作のメソッドとテクニック』(柴田書店)がある。(※写真は南雲さん提供)

困難な時こそ、新しい価値に挑戦し続ける

助成金・給付金・協力金の申請、カクテルのテイクアウト、国税庁や税務署とのやり取り……バーテンダーにとって有用な情報がFacebookのタイムラインから次々と流れてくる。その主は、現在6店舗のバーを経営するスピリッツ&シェアリング株式会社CEOの南雲主于三(なぐも しゅうぞう)さん。自身のバーが危機にさらされながらも全国のバーを思い、入手した情報やアイデアを惜しみなく発信し続けた。その情熱は、バーテンダーにも飲み手にも深く伝わったのではないだろうか。コロナ禍で社会が大きく変化を遂げようとする中、南雲さんはどう考え動いたのか、時系列で振り返った。(取材・文 いしかわあさこ)

カクテルデリバリーの認可を求める署名活動に3500名近くが賛同


―3月25日、小池都知事が週末の外出自粛を要請しました。既に閉めることが決まっていた東京・八重洲の店舗「Mixology Laboratory(以下、ラボラトリー)」が同31日に閉店、4月2日には銀座「Mixology Salon」以外の全店舗で自粛休業へ。4月7日に政府が緊急事態宣言を7都道府県対象に発出した約1か月後、5月8日に六本木「Mixology Experience(以下、エクスペリエンス)」の閉店を報告されました。かなり慌ただしかったのではないでしょうか。

2月中旬くらいからインバウンド消費が落ち込んできて、3月上旬にはお客さまが顕著に減っていました。イギリス・ロンドンなど海外の友人からも「手遅れになる前に、今後バーがどうするべきか発信したほうがいい」と言われていましたし、何かしら動かなければならないと。ただ、その頃はまだどこも休業していない状況で、月末にラボラトリーの閉店が決まっていたので31日までは開けることにしました。……相当悩みましたけどね。

社員の生活を確保しつつ店舗を維持するための現金準備、テナントの家賃交渉、いつまで休めるかなどを税理士と話し合ったり、いろいろと調べながら休業に至りました。まだ持続化給付金や東京都感染拡大防止協力金が発表される前で、申請できるのは雇用調整助成金と日本政策金融公庫からの融資くらいだったでしょうか。半年間は休業できると踏んで、社員の安全も含めて可能な限り守っていこうと決めました。

スピリッツ&シェアリング株式会社4店舗目としてオープンした「Mixology Experience」は、7月15日に閉店予定。移転のために閉店した八重洲の「Mixology Laboratory」を含めて1年で3店舗のクローズと、2店舗のオープンはかなりシビアなはずだが、南雲さんが新しいチャレンジを止めることはないだろう。(※写真は南雲さん提供)

―4月9日、国税庁が料飲店等に向けて「期限付酒類小売業免許」を付与すると発表しました。実際にはそれだけでなく詰め替え届が必要だったり、宅配は1都道府県のみの消費者に限定されていましたよね。

バーがほかの業態と被らない唯一の武器は、カクテルです。でも、詰め替え届を出してもカクテルを詰めて販売するのは「みなし製造」にあたるためNGでした。ということは、材料ごとに真空パックなどに詰めてセット販売にして、ご自宅で混ぜてカクテルを作って頂くしかない。さらにジュースやピューレなどの副材料が入ると、衛生上の問題で保健所から許可がおりません。また、税務署によっても対応が異なっていたようで、我々バーテンダーはかなり困惑していました。最終的には国税庁が判断しますが、個別案件を受けていたらパンクしてしまうので、各税務署の判断に任せるということだったんでしょうね。

バーは比較的早く自粛対象になりましたし、フードがメインではないのでテイクアウトも難しい。利益を上げられない状況で、全国的にテイクアウトや宅配でカクテルを販売できたら、多くのバーが救われると思いました。そこで、僕ひとりではどうにもならない、皆さんの力を貸して頂きたいとカクテルデリバリーの認可を求める署名活動を始めたのが4月11日。3500名近くの署名が集まって、税務署にはカクテルキットやテイクアウトができるよう拡張解釈をして頂きました。国税庁からも正式に回答を頂いたのですが、バーテンダーの声をしっかり聴いて打開策を考えてくださっています。カクテルデリバリーを応援したいと動いてくださった、報道関係の方々にも感謝しています。

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