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新型コロナプロジェクトチーム代表インタビュー

chap.2 店舗で取るべき対策

長期戦になることが確実視されている新型コロナウイルスとの戦い。「WITHコロナ」社会において、飲食店はどのような対応が望まれるのか。前回に続き、新型コロナプロジェクトチーム代表に、店舗で取るべき具体的な対策について聞いた。
監修:MS Task Force for COVID19 代表理事 福島医師
取材・文 :門賀美央子   イラスト:千野エー

新型コロナウイルス感染症を防止するために店舗で取るべき対策

chap.1で触れたように、新型コロナウイルスは無症状感染者によって拡大します。そして、無症状感染者は自分が感染していることに気づけません。
また、発症したとしても、発熱や咳となどのわかりやすい風邪症状が出るとは限りません。アメリカの入院患者から取られたデータでは、発熱があったのは発症者の3分の1だけだそうです。また、話題になった味覚の消失も罹患者全員に出るわけではありません。人によっては「いつもよりダルいかな」程度で終わってしまう場合もあります。体温測定や体調アンケートの実施の効果が限定的なのは、こうした理由に依ります。
つまり、来店客から感染者を完全に除外することは実質不可能であり、店を開けている限り新型コロナウイルスは必ず店内に持ち込まれるという前提に立って、対策を考える必要があります。

【対策1】 店内にいるウイルスの絶対数を減らす

体内に入ったウイルスが少量であった場合は、たとえ未知のウイルスであっても排除できる機能が体には備わっています。よって、体内に入るウイルスの絶対量を少なくすればするほど、感染の可能性は低減します。そのためには、店内に存在するウイルスの絶対数を減らすのが効果的です。
ウイルスの正体は遺伝子とタンパク質の膜であり、そのどちらかが壊れると感染力を失います。この性質を利用して、数を減らしていきましょう。

1.紫外線の殺菌力を利用する

日焼けの原因となる紫外線は、細胞内にあるDNAに直接作用し、化学変化をおこします。そのため日焼けが皮膚がんの原因になるわけですが、ウイルスのDNAやRNAも紫外線で壊されます。遺伝子が壊れると、ウイルスは感染力を失います(不活性化)。
最も効果が高い波長254nmの紫外線は、長時間浴びると人体にも悪影響が出るため、店内全体の照明には向きません。しかし、短時間であれば問題ないので、店の出入り口付近にブラックライトを設置し、頭上や足元を照らすようにすると、入店者の靴や服から落ちたウイルスを不活性化させる効果が期待できます。
また、蛍光灯の光にも紫外線が含まれています。殺菌能力は弱いですが、長時間照らせば一定の効果は出ると思われるので、閉店後から次の開店時間まで店内の蛍光灯をずっと点けておくといいでしょう。ただしLEDライトは紫外線が出ないので効果がありません。
また、近年の研究により、222nm紫外線は十分な殺菌効果がある一方、人体には無害とわかってきました。今秋には222nm紫外線を照射できる光源モジュールが発売される予定です。それを使用すると、効率的に広い空間のウイルスを不活性化させることができるでしょう。なお、紫外線は不可視光線で人間の眼には「光」として認識されません。ですので、演出として店内を薄暗くしておきたい場合でも利用できます。

2.清掃の回数を増やす

ウイルスは宿主の体内以外で自然増殖することがないため、清掃や消毒で一度減った数がまた勝手に増えるようなことは起こりません。ですから、掃除や消毒をすればするほど減る一方になります。
開店前の床掃除には、緑茶の出がらしを撒いてしばらく置き、それから掃除機などで一緒に吸い込むと、緑茶カテキンの抗ウイルス効果による数の減少が期待できます。
トイレ清掃については、ノロウイルスと同様の対策をすれば問題ありません。来店客には便器の蓋を閉めて水を流すよう、協力を促すポスターなどを貼っておくとよいでしょう。

3.空気清浄機を設置する

換気が難しい構造の店舗では空気清浄機の設置を考えたほうがいいかもしれません。空気清浄機のウイルス除去機能効果には諸説あります。しかし、100%の除去は無理だとしても、絶対数を減らすには有効と思われます。ただし、フィルター掃除はまめに行ってください。ウイルスに汚染されたままのフィルターでは逆効果になりかねません。

4.消毒剤の空間噴霧は厳禁

消毒のために次亜塩素酸水を空間噴霧するのは厳禁です。殺菌に効果がある濃度の次亜塩素酸水を空気中に噴霧すると、それを吸った人はアレルギー症状などの健康被害を起こす可能性があります。また、紫外線下では十分な効果が期待できません。逆に薄い濃度では殺菌効果はなく、空間がただ塩素臭くなるだけで無意味です。来店客や従業員の健康被害を起こしかねないので、やめましょう。

【対策2】 接触感染を防ぐ

接触感染とはウイルスに接触した手などからウイルスが体内に入ることです。これを防ぐには人の手が触れる場所の消毒と、手指の洗浄がもっとも効果的です。

1.手指のこまめな洗浄

感染対策として手洗いが強く推奨されるのは、手についたウイルスが少なければ少ないほど感染の確率が低くなるからです。手洗いのポイントは下記のとおりです。

1.必ず流水で洗う。
2.石鹸を使う。
3.爪の間や手首周辺も忘れない。

石鹸は普通の石鹸で十分です。薬用や殺菌効果を謳う製品を使う必要はありません。石鹸成分はアルカリ性で、アルカリにはタンパク質を溶かす性質があるので、ウイルス表面の膜を破壊し、不活性化してくれます。

2.頻繁に触るものの消毒

テーブルやメニューはもちろんのこと、出入り口のドアノブ、椅子の背もたれや腕置きなど、手に触れる部分はこまめに消毒するようにしてください。なお、物品の消毒には次亜塩素酸水が利用できますが、やはり塩素臭が残るので、バーの場合はアルコール消毒液を使用したほうがいいかと思います。
紙製のメニューは消毒できないため、接触感染の大きな元凶になります。パウチする、プラケースに入れる、タブレットなどに置き換えるなどの対策を取り、必ず拭浄できるようにしましょう。

3.靴も注意

ウイルスが靴に付着して店内に侵入するケースもあります。入り口ドア付近に除菌用マットを置いて、靴底の消毒をしていただくのも有効でしょう。

【対策3】 飛沫感染を防ぐ

飛沫感染は、感染者のくしゃみや咳だけでなく、発声時の呼気によって発生します。無症状者であっても変わりません。
いわゆる「三密を避ける」というのは、飛沫感染を予防するためです。しかし、バーなどの場合、三密を避けるのは至難の業。呼気の拡散を避けるにはマスクの着用、塩化ビニールやプラスチックを使った遮蔽物の設置が効果的ですが、オーセンティックバーのように非日常を楽しみに行く店では利用が難しいかもしれません。

1.エアカーテンを設置する

設置費用がかかりますが、エアカーテンをカウンターの上に設置するのは対策として有効です。

2.店内の湿度を高めにする

湿度が高い空間では、空中の飛沫やホコリなどは地上に落下しやすくなります。鼻や口の高さより下にいけばそこからウイルスが侵入する危険性が低くなるので、店内の湿度を高めに設定しておけばある程度の効果が見込めるでしょう。

【対策4】 感染しても重症化しない体を作る

新型コロナウイルス感染症に感染した場合、約2割の患者が重症化するというデータがあります。そして、一旦重症化してしまうと極めて速いスピードで悪化するのが特徴で、一旦悪化すると高度な治療が必要になります。致死率はインフルエンザよりも高く、決して軽視できる感染症ではありません。
また、新型コロナウイルスに限らず、あらゆる感染症は免疫機能が低下すると罹りやすくなります。この機会に自分の健康状態を見直してはどうでしょうか。

1.健康診断を受ける

新型コロナウイルス感染症が重症化する三大リスクは高血圧・肥満・糖尿病です。これらは生活習慣病であり、生活改善と適切な服薬をすれば症状は軽減していきます。しかし、高血圧と糖尿病は外見からはわかりません。
この機会に健康診断を受け、自分の体の状態を確かめてみてはどうでしょうか。

2.免疫機能を高める食品を摂取する

食事からの体調管理も重要です。納豆やヨーグルトなどの発酵食品や緑茶のような抗ウイルス力が高い食品を積極的に取ることで、体の免疫機能を高めましょう。
また、こうした食品や飲料を使ったメニューを加え、来店客の消費意欲を高めるのも一手だと思います。話題にもなりますし、店として新型コロナウイルス対策に高い意識を持っていることのアピールにもなるでしょう。

最後に

新型コロナウイルス感染症は、今後季節性インフルエンザのように感染症として定着する可能性があります。つまり、私たちが日常的に付き合っていかなければならない病気になるかもしれないのです。ですから、他の感染症同様、ただ闇雲に怖がるのではなく、正しい知識を持って正しく対処するのが重要になります。
どのような対策をしても感染症を完全に抑え込むのは不可能です。しかし、やればやるほど抑え込める可能性は高くなります。
顧客と従業員の健康を守るためにやるべきことを模索するよい機会と捉え、自店舗でできる対策を考えてみてはいかがでしょうか。

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