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期限付き酒販免許を活用し、独自の方法でお酒を販売
中垣さんは岐阜市で「BAROSSA cocktailier/バロッサ コクテリエ」の他、同ビルの下の階にスペインバル「BAR BAROSSA/バルバロッサ」を展開。お酒と料理の組み合わせや、地元の素材や様々な食材による創作性の高いカクテルづくりを取り組んできた。

期限付き酒販免許を活用し、独自の方法でお酒を販売

新型コロナウイルス感染拡大問題によって多大な影響を受けたバー・飲食業界の一つの救済措置として、期限付き酒類販売免許制度が施行された。本来なら販売場の区画割など様々な要件がありバーが取得するにはハードルが高いが、それを最大6ヶ月間に限定し、手続きを簡素化したものだ。
バーテンダー歴33年、日本を代表するバーテンダーの一人でもある「BAROSSA cocktailier」の中垣繁幸(なかがきしげゆき)さんはいち早くその免許を取得し、テイクアウトを軸とした酒類販売を始めていた。そこで今回は、中垣さんにバーとしてどのような方法でお酒を販売したのか、また、コロナを契機に始めた独自の対策について話を聞いた。
(取材・文 小針真悟)

―期限付き酒類販売免許を取得後、どのような方法でお酒を販売したのでしょうか?
「Bring the bar home」と名付けたFacebookのグループを作成し、グループ内のお客様だけの会員制としてオーダーを受け付けています。基本的にはテイクアウトで地元の方々が中心ですね。
まずはジャパニーズモルトやオールドボトルなどレア商品の量り売りから始めて、家庭で楽しまれるシーンを考え、様々な飲み比べセットも始めました。
メニューに関しては、Illustratorを使って自分でデザインし、それをグループページに投稿しています。テキストではなくビジュアルにして見てもらうことで訴求力を持たせています。
ページに無い銘柄はすべて説明書を添えて販売していたので、忙しい日は説明書作りに追われました。

店舗の一角に構える「Bring the bar home」のコーナー。

―実際にどのようなメニューを提供しているのでしょうか?
BARの酒販店としてお使いいただくにあたって「価値」をどう生み出せるかを考え、まずは店舗の隣にあるCAVEで熟成させたワインの販売ですね。10年以上寝かしたワインは酒屋さんではなかなか買えないのでお客様のメリットになったと思います。
その他、(下の階に構える)姉妹店の料理と組み合わせた食中酒のセットや、寝酒におすすめの食後酒セット、シェリーの飲み比べセットも提供しています。
リピートのお客様には毎回銘柄を変えてご提案しました。
メニューから選んでいただく他にオーダーとして多かったのが、「今日の晩御飯はすき焼きなのでそれに合うものが欲しい」といったようなお電話を事前に頂戴して、それに合わせて私がセレクトするという形です。
これは通販ではなくテイクアウトだからで可能なスタイルであり、自分が得意とするフードペアリングの技術を「価値」にできた新しい酒販スタイルだと思います。

―確かにその日の食事に合うお酒のセットやレアボトルの飲み比べセットはバーだから出来ることですしニーズがありそうですね。
こちら側としては、喉から手が出るほど売上げは欲しいのですが、まずはお金のことよりも、お客様にとっての「価値」がどこにあるのかを考えていました。当店には腕のいい専属のシェフが居るので、料理とお酒のペアリングをテイクアウトの「価値」として推し進めました。
ホームメイドカクテルの材料のテイクアウトも考えましたが、法的な制約も多いので、そこをクリアしていくことよりすぐに着手できることから動き、料理とお酒単体の販売に専念しました。
数々の制約を乗り越えてリキュールメーカーさん経由でのボトリング・カクテルにまで到達されたバーテンダーさん達の行動は本当に素晴らしいと思っています。

食事のテイクアウトの中でも人気だという「9種類の日替わりタパスセット」。それに合わせた食中酒セットもまた人気なのだとか。

―量り売りはいくつか容量が決まっているのでしょうか?
ボトルを持ってきてもらうこともしていたのですが、35ml、105ml、200ml、それと一応500ml、1Lも用意してます。
それぞれ基本的には、ショット単価と原価の間ぐらいを参考として値付けしています。

―実際にやってみて反響はどうでしたか?
毎日動きがあり、売上が大きな日もありました。
それとリピートされる方が多く、すっかり在庫が少なくなりましたし、始めてよかったと思っています。
今週はちょっと良いワイン、次週はお値打ちのものを3本といったように毎週来てくださる方や、お一人で2万円ぐらい買っていかれる方もいて…本当に有り難かったですね。
営業再開後は、事前オーダーは止まりましたが、いらっしゃった帰りにテイクアウトされていく方はいらっしゃいます。食事のテイクアウトは今も動いていますね。

―そもそも酒類販売を始めようと思った理由は何だったのでしょうか?
首都圏でUber Eatsが好調だと聞いて、2月末の段階でまず(姉妹店での)料理のテイクアウトに取りかかりました。_緊急事態宣言より前で全国的にテイクアウトを打ち出しているお店は少なかったと思いますが、商売が厳しくなると思いましたし、岐阜にはUber Eatsが無いことからテイクアウトに活路を見いだすこととなりました。
料理で既にテイクアウト業務を始めていたこともあり、「期限付き酒販免許の交付」のニュースを見た次の日には申請に行きました。

中垣さんは、バーテンダーとしての技術はもちろんのこと、編集ソフトを用いて自らメニューをデザインするなど多彩だ。

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